第12回研究例会のご案内

日時

  • 日程:2024(令和6)年 3月9日(土)
  • 時間:13:30から17:30

場所

  • 国立民族学博物館 第3セミナー室(大阪府吹田市千里万博公園10-1 本館2階)
    およびZoomによるオンライン会議室

主催

  • 日本民俗音楽学会

共催

  • 国立民族学博物館

例会スケジュール

13:00 – 13:30 受付
13:30 – 13:40 開会のあいさつ
<第1部>研究発表
13:40 – 14:10 研究発表1 荒木 真歩(会場)
14:10 – 14:40 研究発表2 伊原木 幸馬(会場)
14:40 – 15:10 研究発表3 古澤 瑞希(会場)
15:10 – 15:40 研究発表4 田辺 沙保里(会場)
15:40 – 15:50 休憩
15:50 – 16:20 研究発表5 下田 雄次(オンライン)
16:20 – 16:50 研究発表6 寺田 真由美(オンライン)
<第2部>ディスカッション
16:50 – 17:30 研究発表の内容を話題とした参加者による意見交換

<第1部>研究発表 (発表と質疑応答含み30分)
1.「屋久島の民謡と『琉球』―自然・歴史的環境を踏まえた歌い手の解釈」(荒木真歩)
 現在、屋久島では「まつばんだ」という民謡が再興している。その背景として1980年代に民俗音楽学者がこの民謡を「琉球音階が定着したうた」と唱えたことが、大きな影響力を与えている。この言説は現在の「まつばんだ」を語る上で欠かせなくなったが、この言説に対して歌い手たちからは様々な反応や解釈が見られる。本発表では、この状況を踏まえ、歌い手たちの屋久島の自然や歴史に対する(再)認識との絡み合いの中で、歌い手たちが歌う際に「琉球」をいかに解釈し、「琉球」との距離感を調整しているのかをフィールドワークのデータをもとに考察する。

2.「藤井清水の作品創作における民謡の位置付け―1910-1939年に書かれた「日記」を中心に―」(伊原木幸馬 ※非会員)
 藤井清水(ふじいきよみ 1889−1944)は「日本のどんな作曲家よりも、もっとも純粋に、切実に民族的な伝統的な音楽表現を求めた作曲家」(小島美子2004『日本童謡音楽史』第一書房, p.111)であり、精力的に民謡の採譜、研究を行っている。本発表では、回覧雑誌「世以美夏季臨時増刊音楽號わかたけ」(1910)から、現存する1939(昭和14)年までの日記等を対象として、藤井の作品創作における民謡の位置付けを考察することを目的とする。

3.「ヘテロフォニーを楽しむ笛奏者—佐賀県嬉野市塩田町久間周辺の浮立の事例から—」(古澤瑞希)
 本発表は、佐賀県嬉野市塩田町大字久間の南志田地区で伝承されている浮立の笛の旋律について、2023年の11月に行われた志田神社のおくんちと、それに付随する練習に笛奏者として参加した発表者の視点を通して分析を行うものである。この地域には、笛奏者が複数いる場合において、それぞれの奏者による装飾音の付けかたやリズムのゆれから、同一であるはずの旋律の間に差異が生じることを好ましいとする考えかたがある。この旋律間の差異について音楽的な分析を行い、その結果を発表する。

4.「ドイツ語圏における浄瑠璃の受容」(田辺沙保里)
 西洋音楽の語法を文化土壌とする欧州、とりわけ、比較音楽学の起点であるドイツ語圏において、雅楽、声明、平家、能楽、三曲、尺八音楽、琵琶楽、浄瑠璃、歌舞伎、民俗音楽等の日本の伝統的な音楽種目が、「仲介者」の手により、どのように伝達されてきたのか。独語圏の文献等を収集、解読することで、日本音楽の受容や、民族音楽学としての学問的な成立過程における日本音楽研究の特徴を明らかにしたい。
 本発表では、アドルフ・フィッシャーの記述(1900年)と、素浄瑠璃に関するラジオ番組(2003年、バイエルン放送)について取り上げ、ドイツ語圏における浄瑠璃の受容について多角的に考察したい。

5.「複眼的視座に基づく民俗芸能音楽の採譜 -五線譜理論の解体と応用」(下田雄次)
 本研究は民俗芸能伝承者の視座に立脚しながら、五線譜理論を選択的・可変的に応用することにより、伝承者が彼らの実践のなかで共有している音楽観を譜面上に反映させる試みである。
このため本研究では調査者の視座と伝承者の視座を両立し、当該の音楽に対する両者の認識・把握のプロセスを対比させ、五線譜を構成する西洋音楽の諸概念を自覚的かつ批判的に検討したうえで、これらを選択的に応用しながら楽譜の作成を試みている。
 伝承者の視点を確保する方法として、発表者は自身が有する民俗芸能者としての活動経験(三匹獅子の笛方を約30年継続)を参与観察的な研究データとして活用した。

6.「篠笛補助具はお囃子復活の鍵となるか―鎌倉市大船囃子を事例に」(寺田真由美)
 民俗芸能、民俗音楽の調査をしている中で、笛奏者が不足しているという話を時々耳にする。旋律を担う笛の人材不足はその民俗芸能、民俗音楽の存続に直結する問題でもある。
 本発表では唯一の笛奏者が高齢で引退したためにお囃子全体が中断してしまったものの、篠笛補助具を使うことで新たな奏者が誕生しお囃子が復活しつつある事例を紹介し、篠笛補助具使用によるお囃子復活の可能性について検討する。

参加申込

  • ハイブリッド方式による準備の都合上、次のURLまたは下のQRコードよりお申し込みをお願いいたします。
    (※会員以外の方も歓迎いたします)

  • 参加申し込みフォーム https://forms.gle/L11tTGV43JVvTvoz9
    ※3月6日までに対面での参加を申し込まれた方は、公園通行証のPDFファイルをメールでお送りいたします。
  • プリントアウトして公園入り口でご提示ください。(通行証をお持ちでない場合は、入園料260円が必要となります)
    ※オンライン参加を申し込まれた方は、開催3日前を目途に接続URLをメールでお送りいたします。

参加費

無料

会場案内

  • 国立民族学博物館 第3セミナー室(本館正面入り口から入り、2階に上がってください)
  • 国立民族学博物館へのアクセスは以下の通りです。
    ・大阪モノレール「万博記念公園駅」から徒歩。
    ・阪急京都線「茨木市駅」もしくはJR京都線「茨木駅」から近鉄バス《阪大病院、美穂が丘行き》24・25系統「日本庭園前」から徒歩。
    ・タクシー利用の場合は万博記念公園日本庭園前駐車場「日本庭園前ゲート」で降車。
  • 詳しくはみんぱくウェブサイト(https://www.minpaku.ac.jp/information/access)を参照ください。

問い合わせ先

  • 日本民俗音楽学会 調査・研究委員長 北見 真智子
    E-mail:m.kitami[at]daion.ac.jp ※送信の際は[at]を@に変えてください